素材探求-No.3【セメント】

 

 リーファで使っているセメントの原料を求めて、新潟県糸魚川市青海町解説に来ました。
 青海町は、富山県との県境に近い、日本海に面し背に黒姫山がある世帯数3450ほどの小さな町です。黒姫山は石灰岩の埋蔵量からいうと無尽蔵と言われています。セメントの原料となる石灰石の取れるところは日本全国にかなりあるらしいのですが、ここ黒姫山の石灰石は純度98%という高品質なものです。それと糸魚川市はヒスイが有名で原石の山があります。そのほかに貴重な岩石や鉱物をたくさん産出しています。
 このデンカセメントは1915年5月1日創業です。実に日華新条約調印の約1ヶ月前の大正7年で、今年で創業91年になります。91年ほど前、最初はカーバイトを製造していました。カーバイトは水を入れるとアセチレンガスを発生させるため、それに火をつけておもにランタンの照明用に使います。昔は集魚灯なんかにもよく使っていました。石灰石を焼くとカーバイトになります。

今回案内してもらったのは。コンクリート製品の技術指導をしている和泉さんと、製品検査と工場の環境、安全を担当している満城さんです。

和泉さんの話
 うちの会社のセメントメーカーのシェアからいくと全体の3%くらいしかないんですよ。大手3社のシェアが約90%を占めているんです。デンカセメントで3%くらい、その他合わせて10%くらいですね。工場は国内8ヶ所、海外に5ヶ所あります。私はこの会社に41年間勤めています。家はここから富山県に向かって20分くらい行ったところの県境です。コンクリート製品の技術指導をしています。工場や二次製品、ブロックなどのいろんな物を開発する場合の技術指導ですね。

 満城さんの出身はこの町です。満城さんは製品検査と工場の環境、安全を担当しています。

満城さんの話
 公害を絶対に起こさないように、煙突からでる排ガスの濃度が規制をクリアしているか、など環境関係の測定を27年やっています。今回は何をするにも環境のことが最優先され、会社でもグリーン法に基づいて、産業廃棄物を使った製品を作っています。公共事業に関しては官公庁のほうから製品の指定がされます。
 グリーン法に基づいて、工場では産業廃棄物を処理しているんですよ。例えば廃タイヤは一部燃料として使っていますし、火力発電所からでる灰を一部処理したり、排水汚泥、木屑などはキルの中で処理しています。ちなみにセメント1t作るのに産業廃棄物400k前後を燃やしてその灰の一部もセメントに混ぜるという形です。

和泉さんの話
 この工場で働いている人はほとんど地元の人です。工場が自動化されたことによって40年前と比べると従業員は1/4になっています。今は1000人くらいですね。昔は4000人くらいいたんですよ。
すぐそこの黒姫山には1台で250tのローダー(大型ダンプカー約25台分の超大型ダンプカー)が配置されています。日本でも何台もないという大型トラックです。大きすぎて公道は走れないので、20台くらいの大型トラックで部品を運んで、上で組み立てるんですよ。タイヤだけでも5mくらいあります。
 現場ではダイナマイトで山を崩したものを一ヶ所に集めて砕いています。大きいものはベルトコンベアで運べませんので、下にあるクラッシャーで砕いたものをコンベアで運びます。とても危険な作業なので、ここは許可がないと入れません。何時に誰が上がって、何時に戻ってきたのかしっかりチェックしています。


 今見学しているところが青海工場です。うちの場合は色々作っていまして、セメント工場はうちの会社の全体の1/5くらいです。セメントは石灰岩を焼いて作ります。火力原料としてアセチレンガスを使っています。この工場の大きなメリットは原料の輸送費がほとんどかからず一番早く手に入ることです。もう一つは、当社は発電所も大小合わせて15ヶ所持っています。その他にバイオマスボイラーからの火力発電も2基、またボイラーも4基あってその蒸気でタービンを回して発電しています。それとは別に火力発電2基でトータル17万kWの電力を発電して工場での電力は十分賄えます。
 一番の立地条件はこの工場の裏山(黒姫山)から取った石灰石を直接ベルトコンベアで工場に運び込める距離にあることです。原料とそれを加工する電力、それと欠かせないのが水です。ここは全てそろっています。ここにはサイロ(貯蔵施設)が10本あり、約8万tの貯蔵力があります。


 輸送に関しても、ここから10分ほど行った糸魚川港にサイロがありまして、セメントが1万t入ります。船積み専用ですね。セメント専用船、黒姫丸と近江丸が2隻、5000tですが、秋田や新潟、東京や舞鶴などにも行きます。セメントにしてバラで船積みをし、あちこちへ出します。青森の場合は秋田やサイロからトラックで陸送です。セメント自体の品質に関しては他メーカーと比べても特別変わりありません。
 当社の得意なことは特殊混和剤です。セメントの乾燥収縮に伴うひび割れを防止するためのものです。トンネルの吹付などに使う急硬化特殊混和剤、これは実際にトンネルを掘りながらその壁に直接吹き付けていく特殊なコンクリートです。
コンクリートはセメントのアルカリと骨材が反応すると劣化の原因になります。品質が悪いとひび割れなどが出てきます。構造物には鉄筋が入りますから鉄筋と反応するものもあります。その中でひび割れが入ると水分が入って酸化反応をおこし、鉄筋は錆びて膨張し、ひび割れの原因になります。ですからセメントだけでなく、砂や砂利などの骨材の部品がとても大事なんです。とにかくいい骨材を使うことですね。

和泉さんの話
 私のこだわりはやはり品質です。私はコンクリートと向き合って41年になります。来年定年退職を迎えます。生コンはセメントにいろんな物を混ぜて出来ます。そのものの産地が違えばいろんな面で出来上がりが違います。セメントは同じでもそれに混ぜる砂や砂利の品質で仕上がりが違ってくるんです。お客様が求めてくる最高品質のコンクリートを作るのが私のこだわりなんです。

 後記
 デンカセメントは、私たちが直接お付き合いしている会社ではないのですが、基礎工事に使われている生コンのセメントがどこでどんな品質でどんな人間が携わっているのかとても興味がありました。それと本当に信頼、安心できる製品なのか確認したかったのです。デンカセメントは、セメント自体ももちろんなのですが、それに関連する特殊セメント分野が最も得意です。リーファのコンクリートにもその技術が生かされています。リーファのコンクリートは水を出来るだけ少なくする特殊減水剤が使われています。ですから、乾燥後の強度は強く、収縮も少ないのです。今回ご案内いただいた製品検査や環境を担当している満城さん、そして41年コンクリートの品質にこだわった和泉さん。
 和泉さんには今年で会社を定年されるそうです。定年後は実家に帰って気楽に漁師でもやるかな、なんてお話されていました。本当にご苦労様でした。工場を見学し、帰りに青海駅前でおいしい日本海の魚と地酒をご馳走になりました。そのとき、青森のねぶた祭りの話で盛り上がり、今年行くので是非見たいということでした。そして2006年8月、会社の皆さん、家族連れで観光に来られ、お世話させていただきました。
 本当に多くの人間が関わって、一棟の家が出来る、その一つ一つが縁です。そんな思いをまた強く感じました。今回の見学にあたり、土曜日の休日にも関わらずご案内いただきました。本当にありがとうございました。