素材探求-No.8【集成材】
国産材への「こだわり。」 

 

製材から集成材まで一貫生産。

 ここの蟹岡工場だけで46名働いています。製材工場の方は13名です。忙しいときは2交代で稼動します。ここでは乾燥機に入れる木材がまんべんなく乾燥するように桟積みという作業をします。要は細い桟を板の一段一段に挟みこんでよく温風が通るようにします。挟み込んだら一山にして、乾燥機の中にいれます。そうする桟によってできた隙間を乾燥機の中で温風が流れて木材が乾燥します。乾燥機は本社工場と合わせて31機あります。1機あたりラミナ(板)換算で38から40弱(柱にして約1,000本)は入り、それをフルに回してなんとか間に合うという感じです。乾燥時間は厚みにもよりますが約5日間、温度はだいたい90℃くらいで乾燥されます。熱源はこの工場内で発生する木くずです。それを燃やし、ボイラーの熱を利用して乾燥させます。工場からでてくる端材、かんなくず等を燃料にしていて、重油等の化石燃料を一切使っていません。もちろん工場内の暖房もです。環境にも充分配慮しています。ですから、今の油の値上がりっていうのは気になりませんし、製品価格にも関係ありません。これがボイラーです。ここから端材を投入するようになっています。ラミナ工場から出てくるかんなくずは、集塵装置によってサイロに貯められ、そこの銀色の筒の中を通って定量供給というかたちで自動的にボイラーに供給される仕組みになっています。ここから蒸気配管が全ての乾燥機とそれから工場内の暖房とに使われています。この工場では捨てるものは何もないのです。捨てるのは燃やした灰だけです。

 ここからが集成材の製造工程になっており、今作業員が黄色いチョークを手に持って印をつけていますが、これは曲がりや反り、ねじれ、それから節などの欠点を目で見て、使えない範囲で切り取る、というところをチェックしています。そうすると、機械の方がセンサーでその黄色いチョークの位置を読み取って自動的に切ってくれます。ですから、この時点ではラミナの長さはバラバラです。短くなったものは、あとで、フィンガージョイトをして、必要な長さにして製品にします。ここでは、最低の長さは大体70cm以上ですが、別の工場のほうに行くともっとさらに短いものも使うようになっています。パレットに積みわけして、それぞれの工場で処理するようになっています。工場内はさっきのボイラーの熱源が供給されているのでとても暖かいです。暖房が効いていて、ある程度の室温がないと一番重要な接着剤の効果もでません。集成材の接着の性能を維持するうえでも、作業環境温度が一定でないと接着剤の硬化が遅くなります。でも、今では高周波プレス機も導入されているのでそんなに影響されません。今ここでは、ある程度の長さにするためフィンガージョイントをしています。ラミナどうしのフィンガーが軽く刺さった状態、それを手前に送り出してプレス機で差し込む。それで一応ある程度の長さになります。ここでは長さがばらばらで、それをエンドレスにつないで定尺の長さにカットし、同時にのりを塗るという工程になっています。6mの素材を作りたいのであれば、例えば6mに10cmくらいの伸びをつけて、それで切ってしまう。それでプレスして接着させてしまいます。

 

乾燥機1基に柱が約1,000本、それから1基フル活動です。

 こちら側がプレス工場となっています。次がプレス前のかんながけの工程になります。高周波プレス機が2台あり、4mまでと6mまでできるプレス機が設置されています。材料に茶色く塗られているのが接着剤で、自動で木に塗布されています。今塗られているのがラーメン塗布という仕方で、圧力をかけることによって一面に広がる仕組みになっています。集成材はJASで求められる一定の品質があります。一定の強度の梁を造るときには、これくらいの強度の木材を組み合わせなさい、という厳しい規定があります。原木のどこを製材するかによって強度が違います。繊維を切ると弱くなります。そういったことで、結果として製品の優劣がでてきます。この優劣を上手に使って、一定の強度にします。どういった強度なのか機械で全部測っているので一定以上のものしか次の工程には進みません。その中でも強いもの、中でもちょっと落ちるもの、使えるものなどを分けて使っています。

 取引先のご依頼等があれば、県の林業技術センターへ持ち込んで、製品の破壊試験をして試験結果をお届けすることもあります。今までは林業技術センターへ製品を持ち込んでやっていたんですが、忙しいため、なかなかすぐにやってもらえないということもあったんです。今度、本社工場のほうに実材試験機を入れることになりまして、自主検査体制をとりつつあります。自分達でもしっかり管理していこう、ということで工場でも試験していけるようにこういった機械を揃えながら準備しています。 

 

今では、自社で強度試験ができる体制になりました。

 これが試験機械です。たわみ一定の荷重をかけたとき、どれぐらい変わるか、それがE強度、いくつで折れ、破損するかがF強度です。これで強度試験をし、それ以上あるという確認をします。通常やっているのは、こういった小さい機械でフィンガージョイントの強度を計り、間違いなくフィンガーの強度を確認します。そのほか、ここでやるとすれば煮沸剥離試験です。剥離試験と言って、製品をある程度の大きさに切った物を煮沸水槽の中で煮て、それを木材の強制乾燥機の中で乾燥させて、接着剤が剥離しないかどうかを定期的にやらなければいけないことになっています。今まではこういう実材試験機がないので、県の試験場へいって向こうで抜き取り検査することもありましたが、これからは自社で試験が出来るようになります。ここが最終の・・・・・かんながけと、長さ決めをしている工程になります。これで仕上がった状態なので、梱包して出荷となります。


 本社工場と第二工場があります。本来であれば、同じ敷地内に工場を建てた方がいいんですけれども、川井村は、こんな山で谷の深い平地のない土地柄なものですから、なるべく近いところに土地を探して、15分くらい離れてるんですけれども、ここで第二工場を建てて現在稼動しています。本社工場では梁材など第二工場では柱や土台を生産しています。
出荷量は一応、4000〜4500位。能力からすると5000(柱約150,000本)造れる工場のラインは確実に出来ています。国産材の生産工場ですと、日本一です。
 JAS認定工場は、毎月一定間隔ですべてのものを検査適応する資料を作っていますが、それが一定レベルの品質にあるかということを、基本的に3部とります。自社の検査、それと外部でもそのとおりやっているかどうかを検査してもらい、二重のチェックをします。納入先でも定期的に、JAS認定の証書ならびに検査結果報告を第三者機関から写しをもらっています。納入先にも間違いないものがちゃんと確実に出荷されているか確認証明する作業です。またお互いしっかりやっているということがあるので、自信をもって説明できます。特にJASの場合というのは、全ての全量検査をすることは物理的に不可能なんですよね。JASの発想っていうのは、工場が一定にそういうものを作れる状況にあるかどうかというような性能が前提となっています。ですから認定されるのはとても厳しいです。まず設備があるということ。そのことを活かす資格を持った人間がいるということ。それで一定のシステムができていると判断されます。これが前提にないとJAS認定になりません。
 特にここは国産の唐松だけで商品構成しています。今、試験的にやっているのが杉の柱の商品アイテムで、JASの認定をとる準備をしています。唐松は取れていますが今、杉の認定を取るために申請している最中です。JAS規格は樹種が変わるたびに認定を追加、追加でとらなくてはいけないので、今までの唐松と同じつくり方では取れません。その都度、強度試験などの結果のデーターをつけて申請し、それで許可が下りるとやっとJASシールを貼って出荷販売できます。それが今もうじき許可が下りるところまで来ています。

 強度の比較できる公約データ
 杉材を利用しようと思ったのは国産材の利用拡大を図るということです。今まで唐松だけでやってきて、そのかいもありなんとか唐松が市場で認知されました。しかし、山元の声を聞くと山には杉が圧倒的に多いと言います。やっぱり、杉の商品化を考えなければいけないということで、杉の商品アイテムを加えることになりました。そんなこともあって今、雫石のほうに新たに製材所を作る計画を進めています。

 

 マルヒ製材 日當専務
今当社で計画しているのが、杉の集成材です。ジャストの試験用と考えています。日本で一番多いのは杉材です。東北でも一番多く出ています。唐松というのは岩手と一部のところでしかないので、これから杉は量としては一番でてくるのではないかと言われています。柱なんかに使う分には充分な強度もありますので、問題なく使えます。しかし、唐松より曲げの強度が弱いので、唐松と同じ強度のものを作ろうとすると、どうしても経済的にコストアップになっていくんですよね。ですから、柱と梁の材料を使い分けるというのも、一つのアイディアかもしれませんね。しかし、今日本に一番多い杉材に関して最終的な商品の品質というところまで見えていないんです。使おうという勢いはあるんですけれども、実際使わせていただくためには、一定の品質にしなければならないんですね。それがなかなか今の製材レベルの発想ですと、求められている品質に到達できません。集成材という最終的な製品の品質を担保できるところまでやっていかないといけません。今度の雫石の工場が2008年稼動します。素材の供給ということにおきましては、青森県のほうからもだいぶ御協力いただく予定になっています。ですから、青森の杉、それから岩手の唐松、秋田からも杉が入り、岩手の杉も入るんですが、北東北3県から素材を供給していただくということで、立地条件から雫石のほうに工場を建てることにしました。ちょうど、へその位置にあるもんですから。そこで、製材した板をこのウッディかわいのほうに供給して、製品化するという予定を立てております。その分にも今の本社、第二工場で部分的な2交代の生産体制を布いている状態なんです。3交代、フルに24時間動かせばあと2000位は増産できるだろうな、という計画で今進めています。

 

集成材の土台は、特殊な方法で薬剤を注入。

 あとこれが防腐処理土台の前処理工程で、インサイジングしているところですね。まあ、通常であればこのまま柱角、土台角なんですけども、その表面に薬品がしみこみやすくなるように、傷をつける工程をここで今行っています。これで10oぐらいの深さです。これに防腐処理の薬品を注入します。下のタンクの中に薬品が入って注入しているのが1号機で、あとその中にも、もう一台あります。さっきのインサイジングした柱をタンク中に入れます。それで薬品、液体を加圧してしみこませる。その前に減圧して、少し中のほうの空気を抜いてしみこみやすい状態を作ったところで液体を入れて、加圧するとしみこんでいきます。柱と土台の種類は同じものを使います。

 木材っていうのは水分が入ることによっていくらか変形します。いろんな作り方があります。従来は湿式といって、材料に薬液体を加圧して力任せに木材に注入していました。その方法であれば乾燥時に変形が起こったりします。今は独特な方法で、はじめは液体なんですけども、減圧することによって薬剤の液体が気化します。空気状にしみこむので、漬け込む従来のやり方と違って、非常に寸法は安定性能が良く、しかも中に浸透しやすいという、とてもいい特徴があります。湿式処理は多いんですが、この乾式処理というのはなかなか少ない方法です。                          
                            
 タンクから出てくれば、当然乾いた状態で出てくるので、そのままトラックで出荷できます。ですから乾燥工程を必要としない。実際はこの中で乾燥させるように高周波をかけているんですが、本当の濡れた状態のものを乾かすというものではないので、寸法が安定しています。
 この処理で防蟻性能があります。腐朽菌にしてもシロアリにしても、どうしても表面から入るので表層をがっちり薬品で処理してしまえば、シロアリは中からでるわけではないので、腐る事もなく、十分に土台としての性能を有するということになっています。使われる薬品は、通常ほとんど人体には影響ありません。

これからの林業を取り巻く環境

●日當専務
少し前までは、国産材が高くて外材が安い、ということで外材が使われていたんですが、(今でもそういうイメージがあります)そんな中で外材の値段が上がってきて、国産材に目が向いてきたんですね。一部の方(リーファさんがそうなんですけど)今までこだわって国産材を使っていただいている住宅会社、そういった方々に対しては約束通り供給出来ますが、値段だけの(にわか)国産材ファンには同じようにお取引は出来ません。ウッティかわいさんにも特別に扱ってくださいよっていうお願いをしています。去年なんかは、これだけの生産量がありますので、全国から殺到したわけですよ。その時に今まで国産材を使いましょう、と取り組んできた人と・・・にわか国産材ファンとはちょっと一線を隔してやっていただかないと困りますよと。

 

●小野寺さん
 今までお付き合いしていただいた方を無視して、どこかに横流しするなんてことは当然できません。うちの生産量がそれだけ伸びればその分、新しいお客様を開拓することは当然するんですけど、やっぱり、今までの生産量では今までのお付き合いは当然大事にしていくのは当たり前のことですしね。本当のことを言うと、去年あたり引き合いはだいぶ強かったですしね。輸入材が全然入らないところからは売ってくれ、売ってくれ、と言うことはありましたけどもね。

 

●日當専務
 木材は国際資源化しています。特にロシア材なんかは輸出税なんていうのが従来の5%から今20%になりました。来年には80%になるっていう。それでも買うところはなんぼでもあるっていう読みがあるんでしょうね。石油もこれだけ上がってくれば、船賃等も上がってきたので、よそから木材を買ってどうのこうのっていう話には単価的に辛くなってきまして、そういう伸びから比較しますと日本の伸びっていうのはまだ安定しているほうで。あとは使いたいというお客様が確かにいますので、それに見合う生産、素材、丸太の供給ができるかっていうことで、今、山の木を出すというここのところに力を入れています。

 

●小野寺さん
 そうですね。日本の場合にはどうしても急斜面の山が多いですからね。容易に機械化が進まない。今までも大変厳しかったし、林業も本当に老齢化しています。今、機械化を計りながら、木を切り出せるように一生懸命やっているところです。ここまでくれば、工場を1つ建てるとか2つ建てるとかっていう話だけですから。

 

●楠美社長
 これからは素材生産、山からの切り出しの方に若い人たちが働きたいと思う環境を整えてあげないと、いくら工場をつくっても、山から木が出てこなければ工場は稼動しない、そこなんですよね。林業っていうもの、そういった意味ではだんだん見直されてくるし、またそういった環境を作ってやらないと大変だよ、これからは。

 

●日當専務
 木材が特にそうでして。ニュージーランドにニュージーランドパインっていうのがあって、これを使うところっていうのがほとんど日本だったんですよ。だから日本の商社がある程度、値決めしたんですよね。価格決定権は日本の商社が持っていたんですけど、今は中国なんかが高値で買っていきますので、それにあぶれたものを日本の商社がいい値で買わざるを得ない、というのが世界各国で起きています。そういう意味では、これからやっぱり地元で調達できれば、それが一番安定するわけだからね。

 

●ウッディカワイ 小野寺さん
本来、循環型資源って言われる木材ですから、本当は自分のところで国内なら国内でまわるっていう仕組みができて当たり前なんですけど、これまでなかなかそのようになっていなかったんですよね。特に唐松の生産に取り組むっていうことは、この辺の地域産業にとっては画期的なことなんですよね。岩手県っていうところは唐松はあるけど、ニーズっていうのはほとんど住宅材では見向きもされなかったんですね。それが、大量に使っていただけるということで、まだまだ山が生き返ってきているわけですよ。植林まで行かないまでも、この辺の山っていうのは十分に再生できますので、今切った木はいずれまた再生されていきます。まず切って使うことが大事です。

 

●日當専務
 戦後の木材需要が高まって切られたんですよね。その後また木材需要が発生するだろうということで、さて、何を植えようかってことになって。そこで、一番成長の早い唐松をこの辺では特に選択されたんですね。それがちょうどいま伐期にきています。木材は二酸化炭素を吸って酸素を出す、という地球温暖化防止があるんでしょうけども、ずっとではなく成長している間の50年ぐらいまでなんですよ。だから50年以上の木は、二酸化炭素を吸っているっていうこともあるんですけども、逆に二酸化炭素を出していることもあるんですね。そこはやはり元気な森を作るには間伐が必要で、手入れをして成長を予定して、またある程度育った山を間伐して、また植える。そうすると、またその成長過程で二酸化炭素を吸って、酸素を出す。このサイクルが大事なんです。


 後記
 今回は木造軸組み工法の骨格となる木材(集成材)を取材しました。今まで私たちの周りには、ほとんど外国材が建築に使われていました。それが当たり前のようにもなっていましたし、誰も疑問を持っていませんでした。ところが、最近になって現地での違法伐採の問題や、地球温暖化による伐採の制限、相手国の大幅な関税の引き上げなどによって価格が上がり、原材料不足によって以前のように取引が出来なくなってきました。そんな価格変動によって、国産材が見直されてきたのです。本当に勝手なものです。しかし、現状はその木を植えたり山の手入れや、切り出す人たちの高齢化や、後継者がいないのが事実です。木材に関しては戦後植林されたものが今伐採期になっています。先人が自分達の為ではなく、子や孫のことを思いつつ植え、手入れしてきた「山」。私たちは今、何かを忘れているのではないでしょうか?山は荒れています。山は私たちの生活の原点です。里を潤し、海を育てる。そんなすばらしい山を残してくれた先人に恥ずかしい思いがします。そんなことをこの取材で思い、知らされました。山に関わる人々、そしてその仕事の「哲学」に触れ、こんな素晴らしい体験をさせていただいて、山に関わる取材をして本当に自分自身、意義がありました。
多くの取材にご協力していただき、多くの皆さんに感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。